下:都市経営のPublic Involvement

東京復活のためには、これ以上新たなインフラを整備する必要なんて無い。

既に存在する価値を新たな物語の中で再定義し、正しくオープンにしていけば、それで良い。重要なのは中身とやる気。つまり都市としての実力だ。しかしながら、とても残念なことに、今の東京にそれを牽引するリーダーは存在しない。

都市、つまり社会の変革に向けたリーダーシップは政治(政治家)が担うべきですが、それを経済的な成功に導き実現させるためのマネジメントは民間(経営者)の役割です。このように、リーダーシップとマネジメントが両輪で機能することで社会変革は起こり、実現される。変革が成功すれば歴史に名前が残る。失敗してしまったときには責任をとって辞任すれば良い。それは政治家も経営者も同じだ。

とはいえ、その2者の役割の違いは明確に自覚しなければならない。政治家は事業の経営者にはなれないし、経営者は政治家にはなれない。知事が公金を使ってオーストラリアの水道事業を買収するのも、ゼネコン経営者が勝手な都市の未来像を描いて政府予算を引き出そうとするのも、どちらも同じくらい残念な状況と言わざるを得ません。

来年には東京都知事選挙が予定されています。国政が混乱を極めている中で、日本に残された数少ないカードを無駄にしないよう、この東京という都市の再生に向けた物語について考えていきたいと思っています。それは、政治家や経営者だけが考えるべきものではなく、まさに我々自身がコミットして見出していかなくてはならない可能性であって、もしそれができなければ、なるべく早めに上海か香港に旅立つのでしょうね。