トヨタとグーグルの明暗

と題した記事が、2/15の日経に出ていました。その書き出しは、こうです。

"グーグルと中国。トヨタ自動車と米国。世界で今、最強の「企業と国家」が対立関係にあるのは偶然か。"

その上で、グーグルが「言論の自由」という槍で中国政府を突きつつ国際世論を味方につけている一方で、トヨタが為す術もなく「アロガント」と評されている状況を指摘しています。

この落差は、完全に戦略の巧拙によるものと言って良さそうです。

例えば、トヨタは安全品質問題。グーグルは知財問題やプライバシー問題を抱えており、双方ともにその中核事業に係る「致命度合」は殆んど同じ水準(Red Level)です。

更に、グーグルにとっての中国(巨大なインターネット人口)と、トヨタにとってのアメリカ(巨大な自動車市場)は、どちらも同じくらい重要な拠点と言えます。

もちろん、問題の内容・性質は大きく異なります。とはいえ、トヨタが事後的な「対応」に終始追われているのに対し、グーグルが事前周到に「戦略」を展開している様は、さながら赤子と大人ほどの違いを認めざるをえません。

トヨタの件では国交大臣レベルから懸念表明しか出してもらえない一方で、グーグルには大統領・国務大臣から圧倒的な支援声明が出されている。

こういうのを見ていると、特にグローバル企業とは、顧客・株主・従業員だけを視野に経営できる時代ではなくなったのだなぁと改めて思います。より多様なステイクホルダーとの関係性を戦略的にマネージできるようになって初めてその企業はサステイナブル足り得る。また常にそれらステイクホルダーとの間のリスクや機会を捉え続けることが、まさに経営者の仕事になる。

上述の日経記事は、最後にこんな形で締めくくっています。

"トヨタのつまずきは同社固有の問題ではない。世界の最前線は変化が激しく、例えば日本優位が2度ひっくり返された最近の原発商談を見ても、世界の本気に対する日本のもろさが浮かび上がる。日本企業は本当に世界についていけているか。時代の変化を踏まえ、もう一度足元を見直す時期に来たようだ。"