ヘリコプターマネー

というのは財政政策の用語で、文字通りヘリコプターの上からお金をばらまく政策のことを言います。実需喚起による消費増加を狙ったもので、今回の追加経済対策にある生活支援定額給付金は、概ねこの方法論に則ったものです。

経済の先行きへの不透明感が蔓延することで、消費マインドは大きく冷え込みます。収入をなるべく貯金に回して直近の出費を抑えようとし、結果として経済の血であるマネーが動かなくなるという状態に陥ることになります。

人間の体も、血の量が同じでも流れのスピードが落ちて行けば、そのうち緩やかに死んでしまいますよね。それと同じで、経済の心臓である消費が動かなくなると、経済全体がご臨終ということも極端な話あり得るのです。

とはいえ、政治主導で消費を喚起したところで限定的な効果しか得られないというのは既によく知られた事実です。40歳の人に10代と同じような身体的成長を期待しても無駄なように、成熟経済においては、そもそも大がかりな景気対策などは不可能です。これは直感的にも分かりやすいと思います。

そういう意味で、今回の追加経済対策には、掛けるお金に見合うほどの効果は全く期待できないと見ています。10年前に今回と同様の地域振興券というものがありましたが、7000億円分の券を印刷・郵送するのに総額700億円も掛ったと聞いています。

驚愕するほど愚昧な当時の内閣(小渕)は、財政政策という名の下に7700億円を国民から徴収して7000億円を戻すという壮大な無駄をやってのけたわけです。今回は更に額が大きい分、そういうことにならなければいいなぁと淡い期待を抱くわけです。

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もちろん良い解釈もできると思います。

財政再建への本質的な議論(消費税↑等)に早く道筋をつけたいために、「霞ヶ関埋蔵金」幻想をいったん無効化させる戦略をとってみた、と。

つまり、「あなたたちの言う埋蔵金は、既に定額給付金として全て国民にお返ししてしまいました」と言うための証拠づくりである、と。

まぁ、これも淡い期待に過ぎないわけですが。