福田総理の辞任

あなたとは違うんです!」と言って突然辞めてしまった福田総理ですが、メディアが報じる評価は果たして順当なものかどうか。私は、現状の政治状況を鑑みると、福田総理はセカンド・ベストな選択肢であったのではないかと思っています。

総理総裁としてのリーダーシップは最後まで発揮されなかったものの、現状でベターな政策を着実に実行しており、小泉政権よりも深く切り込んだ改革の実績も少なからず残しています。(道路特定財源一般財源化、公務員制度改革など)

小泉政権の時代を思い起こせば、不良債権→金融不安→経済破綻という図式と危機感が社会的に共有されていたこともあり、経済財政諮問会議に代表される構造改革路線は世論の支持を得て、総理大臣としてのリーダーシップは比較的発揮しやすかったように思います。

現在、不良債権問題と比較すると特に差し迫った問題が無い中、もし仮に政治が強力なリーダーシップをとろうとすれば、それは必ず「バラマキ型」になるはずです。中川秀直が提唱する上げ潮路線小沢一郎の農家への所得保障など、???な政策モドキが堂々跋扈しているのを見れば、いかに福田総理がベターであったか理解できるはずです。(福田内閣が打ち出した総合経済対策の11兆円のうち真水は2兆円のみ。もちろん、それでもバラマキはバラマキですが。)

一般的に、議員バッジをつけると非常な万能感に浸ってしまうものです。全ての社会問題は自らの手で解決ができると思い込んでしまう。景気も雇用も社会保障地球温暖化も食料自給率だって、国会議員なら解決できちゃうと思ってしまう。少なくとも私が接した議員の多くはそうだった。

既に過去5年以上、国政選挙の主要争点は年金のまま。毎回同じ議論がなされ、結局なにも解決されない。財政再建はスタート地点にも立てていない。1,000兆円を超す借金を負担しなければならないのに、まだバラマキの議論がされている。

福田総理はバラマキ圧力が高まる中でも、それをなんとか食い止めようと努力はしていた。そういう意味で、彼はまだセカンド・ベストであった。総裁選に顔を並べる候補者と11月にも噂される解散総選挙のことを考えると、更に強くそう思わざるをえません。